核心的な情報へ迫るために3つのタイプの“おじさん”を探せ!
先だって、大学院の中原先生のレクチャーを聞いていて、人材開発を支える正しい情報収集のポイントの一つとして、キーインフォーマンツ(カギとなる情報提供者たち)を見抜くことの大切さについて学びました。
「どのような情報が得られるか」は「誰から聞くかに依存する」ということで、人材開発の担当者が、現場の生声を聞くために、ポイントとなる人について解説されていました。私は少し違う立場、つまり記者として、組織外から、別の組織の内部情報を収集してきた経験を重ね合わせながら聞いていました。そういったなかで、リアルな情報へのアプローチ方法については、近い部分が多いなと興味深く聞いていました。
◆キーインフォーマンツを見抜く◆
当事者でない人間が、現場の生の声を把握するのは難しいものです。ググって出てくるはずもありません。核心的な情報へアプローチするために、まず大切なのは「信頼」かと思います。「こいつになら話してもいい」と思ってもらえることが、大前提として必要になるように思います。
記者の場合は、「情報を取る」ことが大きな仕事の一つなので、何か噂を聞き、雰囲気を感じ取ったときに、公式発表以外に、そのネタを深掘りしたり、確実に裏が取れたりする人脈がないのは致命的です。
しかし、信頼関係構築にかける時間と労力に限りがある中で、どうアプローチしていくのか。それはまさに、キーインフォーマンツを見抜いた上で、人間関係を構築していくことが重要となります。
◆3つのインフォーマント◆
記者としてやっていくには、突発的に何か起こったとき(発生型問題)、意識的に何かに取り組みたいとき(探索型問題)、すぐに動けるようにしておくためには、対象となる当事者以外に、常々付き合っておくべき人がいます。
それは、3つのタイプのインフォーマントです。
①物知りおじさん(別におじさんじゃなくていいけど)
もう、何でも知っている。森羅万象あらゆる話が飛び込んできても、「それ何?」と聞くとすぐに答えてくれる人。まずは全体像、概要を教えてくれる。いわゆる生き字引です。さらには、こういうおじさんは詳細に知っていなくても、「最近こんな話聞いたな」と端緒を提供してくれることもあります。組織内だと、社交的なベテラン層に多いような気がします。こういう人は何気にいるものです。
②つながりおじさん(いやほんまにおじさんじゃなくていいけど)
知り合いたい人とつないでくれる。これに関しては、全ての分野についてつながりが深い人はあまりいないため、複数人のつながりおじさんと知り合っていると、ものすごく助かります。例えば、あなたが、今日中に産業廃棄物処理業者の社長に会って、業界の話を聞きたいとしたら、どうしますか。あなたが同業者なら容易に接触できるでしょうが、そうでない人は「どうしよう」と右往左往しますよね。つながりおじさんは、こういう人たちをさらっと紹介してくれるのです。組織においては、各部署でそういう人がいるとありがたいですね。
③聞きおじさん(しつこいけど、おじさんじゃなくていい)
ものすごくディープな情報を聞いてくれる人。特にトップシークレット系の情報を提供してくれる人がいると、一気に核心的な情報にまで迫れます。直接会っても、決して教えてくれない人が、聞きおじさんを通すとあっさりと話している。そんなこともあります。こういう人を味方につけるのは至難の業かもしれませんが、じっくりゆっくり付き合っていくと、お互い腹を割った仲になれるかもしれません。組織で言うと、管理者レベルでは、意思決定者の今後の方針や人事情報、現場レベルでは、部下の上司に対する評価、業務実態などの情報になるでしょうか。ちょっとアウトローな感じがしますが、お願いすれば、当事者にこのような情報を聞いてくれる人がいます。
◆リアルな情報はアナログで取るしかない◆
リアルなドロドロした情報を取ることは、簡単ではありません。本音を隠してうまく立ち振る舞うことは、多くのビジネスパーソンが備えているスキルだからです。これだけ情報があふれている時代でも、ここだけは信頼を築き上げた上でアナログに取るしかありません。しかも、そこに問題の本質が眠っていることが多いようにも思います。核心的な情報は、不断の努力によって掴み取っていくものなのかなと。
今日は核心的な情報への迫るための人間関係づくりについて考えてみました。情報は経営資源の一つと言われますが、たとえ記者でなかったとしても、組織内外において情報が取れる人は、やはり優秀なんじゃないかなと、個人的には思います。心の中では、よだれを垂らして「情報がほしい」と思っていたとしても、あからさまに色気を見せてはいけない。絶妙な距離感をつかむ能力も必要だと思います。情報を取るというのは、意外に奥が深いものなのではないでしょうか。
お元気で。